生息環境
今回の改訂で,前述のとおり絶滅危惧II類や準絶滅危惧などが増加しているが,主な原因はブナ林,マツ林の衰退とニホンジカの下層植生食害による地表乾燥による菌類の急激な減少であると考えられる。海岸クロマツ林は広葉樹に置き換わり地表面が下層植生,落葉等に被覆され,腐生性菌,菌根菌の発生が減少していると考えられる。また,英彦山,犬ヶ岳ではブナ林が衰退,または倒木や切株がニホンジカの植生食害によって露出し高温・乾燥にさらされ,菌類が生育阻害を受けていると考えられる。また,食用キノコ類や,観賞用きのこ類については乱獲のおそれもある。
かなり厳しい状況と考えられるが,海岸マツ林の再生,山岳におけるブナ林の再生が望まれる。
一方,宗像市城山に生息するウスキキヌガサタケや久留米市高良山のアカダマキヌガサタケは登山者や近隣住民の観賞の楽しみとなっており,注目されて保全されている例がある。