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種の解説

生活史タイプ

絶滅危惧II類以上の37種についてその生活史の特徴を整理すると,一生を淡水域で過ごす純淡水魚類が18種,生活史の中で海と川を行き来する通し回遊魚類が6種,汽水・海水魚類が13種となった。

純淡水魚類では,河川の氾濫原や農業用水路が主要な生息場である魚種が多く挙げられた点に特徴がある。その中で,ヒナモロコは野生生息地がわずか1ヵ所残されるだけである。また,タナゴ亜科魚類をはじめとして,淡水二枚貝に産卵する魚種の多くが絶滅危惧種に挙げられており,これらの魚種の危機要因には二枚貝類の減少も含まれている。渓流域に生息する通称アマゴとヤマメは前回評価時の「天然不明」から絶滅危惧種にランクが上げられた。それぞれサツキマス,サクラマスの河川残留型で北方系種であり,福岡県はともに分布の南限域に近い点に特徴がある。

通し回遊魚には6種が挙げられたが,うち4種は北方系種として位置づけられる種である。また,絶滅としたカジカ中卵型と野生絶滅種としたサケがいずれも北方系種であり,通し回遊魚である点は注目すべきである。

汽水・海水魚類の中でその危機の程度から上位にランクされた魚種のうちいくつかの種は,有明海とその流入河川の感潮域にのみ生息する種であった。その中でも特にアリアケヒメシラウオは筑後川の感潮域上端部に主要な生息場を持ち,極めて狭い河川内分布を示している。また,かつて博多湾とその流入河川にも生息したクルメサヨリは,そこでは絶滅し,現在では筑後川を主とした有明海流入河川の汽水域だけに分布している。汽水・海水魚類のその他の特徴は,アナジャコ類など無脊椎動物の生息孔を利用するハゼ科魚類が多く挙げられている点である。それらの危機的要因の中には,他の分類群の動物との間の生物間相互作用の欠落が含まれている。

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