選定方法とカテゴリー
福岡県RDB2001では,陸・淡水・汽水域に生息する貝類を選定対象とし,海域の種についてはウミマイマイなどごく少数を取り上げた。近年,日本ベントス学会(2012)が干潟域のベントスのレッドデータブックを刊行し,環境省も2012年の第4次レッドリストの見直しにおいて干潟・内湾域の貝類を加えた。こうした動向を受けて,福岡県でも海域の貝類を選定対象としたが,干潟・内湾域に限定せず,全ての種を選定対象とした。
種の選定にあたって,福岡県内に分布する貝類の1次リスト(約7000件の記録を入力したデータベース)を作成し,さらに福岡県RDB2001に掲載された種,環境省レッドリストに掲載された種で福岡県内に分布する種,それ以外に福岡県内で減少傾向にあると考えられる種を選定し,2次リストを作成した。2次リストの種を中心に,現地調査・文献調査・博物館等の標本調査を行い,最終的な選定・評価を行った。
福岡県RDB2001に掲載された種,環境省レッドリストに掲載された種で福岡県内に分布する種のうち,福岡県RDB2014から除外したのは15種で,それらはその理由とともに後述した。
カテゴリーの内容は環境省に準じたが,情報不足(DD)には移入の可能性のある種など,レッドリストの対象外となる可能性のある種も含まれている。主に1990年代以前と2000年代以降について,生息地数・確認頻度・生息密度の比較,生息地の規模(面積),生息地周辺の開発状況などに基づく定性的な評価によって,カテゴリーを決定した。
分類体系は,Beesley et al. (1998),奥谷(2000),日本ベントス学会(2012)などを参照した。