ハビタット
福岡県は日本海,豊前海,有明海の三つの海域に面しており,それぞれで環境特性および生物相が異なることが特徴である。有明海の広大な干潟環境では,アゲマキやヤベガワモチのような大陸系遺存種を中心とする独特な貝類が見られる。対して,豊前海も広大な干潟環境を有するが,ヒナノズキンのような有明海側では見ることができない種も多い。日本海側の塩性湿地では,タケノコカワニナやオキヒラシイノミガイなどの希少な生物を見ることができる。
地形に目を向けてみると,磯や干潟のような沿岸環境,塩性湿地,島嶼部,広大な沖積平野とそれに連なる河川環境,森林,カルスト地形など様々な環境を有している。有明海周辺を例にとれば,タイラギやアサリが生息する海域の環境から,淡水の影響を受ける塩性湿地に入ればハナグモリやヤマトシジミが現れ,僅かな塩分濃度の違いなどでも貝類は棲み分けている。淡水域に目を向けてみると,流れのある水路にはオバエボシやイシガイが生息し,クリーク地帯ではキュウシュウササノハガイやヌマガイを見ることができる。水辺を取り巻く陸域には,植生や地質などの違いにあわせて様々な陸貝が棲み分けている。このように,同じ県内でも各地の環境に応じ多種多様な生態系を見ることができる。