福岡県レッドデータブック

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各分類群の概論

保全対策

今回のレッドデータブックで示すように,貝類は陸,淡水,海域など多種多様な環境に生息し,その多くが様々な絶滅の危機に晒されている。陸域では森林伐採や開発による生息地そのものの消失が進んでいる。淡水域では近年の水路改修による生息環境の消滅や外来種の侵入によってイシガイ類やその中間宿主となる魚類の減少などのリスクが増大している。海域では,特に塩性湿地や干潟環境の減少や変化が著しく,かつては水産有用種として漁獲されていた種ですら絶滅寸前に追い込まれている。

2014年版に引き続き,絶滅危惧IA類に選定されたヤベガワモチを例にあげると,本種が生息するような多様な種を育む豊かな塩性湿地環境は,既に県内数ヶ所しか残っておらず,さらに河川改修や浚渫などの工事が重なり,この10年の間にその半数が失われてしまった。こういった事態を避けるためには,希少種の分布情報の共有や生息環境を理解するための調査研究の推進とその結果に基づく開発方法のガイドラインなどを作成するなど,福岡県の各部署が横断的に連帯することが強く望まれる。生息地が判明しているヤベガワモチですらこういった状況であり,把握されないまま生息環境が失われている種はさらに多いと考えられる。今後は,希少な貝類の生息状況の把握と生息環境の理解が大変重要となってくるであろう。加えて,陸域の貝類や淡水二枚貝類,水産有用種に於いては特に乱獲の危険性もあり,情報共有に注意が必要な種も多い。また,近年の度重なる豪雨や海水温の上昇などといった気候変動の影響,磯焼けなども貝類の生息を脅かす要因である。各種の状況に合わせて判断し,適切な保全策を講じていく必要がある。

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