概要および選定基準
今回の鳥類に関するレッドデータブックを作成するにあたっては,山岸(2002)を参考にして,各種鳥類の生息現状をより客観化した数値情報としてとらえるよう努めた。まず基本的な生息情報の把握のために,鳥類分科会の委員は,福岡県内の日本野鳥の会の4支部(北九州,筑豊,福岡,筑後)からの各1名と他に鳥類関係者2名の6名として,情報の検討を行なった。まず,各支部の該当地域毎にこれまで記録のあった鳥種を整理して,今回新たに福岡県産鳥類リストを作成し364種がリストアップされた(表 鳥類-1)。このうち,明らかな普通種,ごく稀にしか記録されない迷鳥,情報不足のため判断困難な種を除外して,検討種を243種に絞り込んだ。それらの種について,4支部から推薦された13名に生息情報に関するアンケートを送付して回答を得た。アンケートの内容は山岸(2002)の内容とほぼ同じで表 鳥類-2に示す。これらの回答から各種について評点を得て,その値を参考にしつつ,分科会委員で検討を行なって,半定量的な判断によって絶滅危惧ランクを決定した。その結果,90種について,絶滅が2種,絶滅危惧IA類が12種,絶滅危惧IB類が9種,絶滅危惧II類が25種,準絶滅危惧が38種。情報不足が4種となった。
前回の2001年福岡県版レッドデータブックの作成時には,定性的な判断によって絶滅危惧ランクを決定した。前回と今回とでは各ランクに該当する鳥種がかなり変化しているが,それは判断基準が定性的から半定量的に変わったことも大きく関係している。参考までに,前回と今回とのランク毎の該当種の変化を表 鳥類-3に示した。ランクへの該当理由については各種の記述を参照されたい。