検討結果
絶滅のおそれのある種の総数は, 2011年の改訂時では46種であったが,今回見直しを行った結果71種(絶滅危惧IA類11種,絶滅危惧IB類16種,絶滅危惧II類44種)となり,25種増加した。これらに絶滅種(2種),準絶滅危惧(41種),情報不足(5種)を加えると,本書に挙げられるのは119種(前回90種)となった。カテゴリーの新旧対照表を表 鳥類-3に示す。
前回改訂時と比べて選定種が増加し,カテゴリーの変更も多いが,今回は文献からの情報に加え,現地調査を県内全域で実施したことにより,定量的なデータの精度が向上し,客観的根拠に基づいた判定が行われたためである。根拠とした環境省の定量要件を,CRからVUまでは特記事項欄に,NTは選定理由欄に記載した。
今回の改訂でカテゴリーの変更がなかった種は45種,ランクアップした種が24種,ランク外から新たに選定されたのが37種であった。特にシギ・チドリ類や小型から中型サギ類の減少率が高くなっており,多くの種がランクアップまたは新規に選定された。
一方,ランクダウンした種は13種,ランク外としたものは8種で,生息数の増加,回復によりランクを下げたものはヘラサギ,トモエガモ,カンムリカイツブリ,クロツグミ,そのほかは現在の生息状況と定量要件を精査した結果,ランクダウンが妥当と判断された。
前回DDとされたウズラ,オオコノハズク,コサメビタキ,コガラについてはその後の調査である程度生息状況が把握され,ウズラ,オオコノハズクについては確認頻度や生息確認数からENに,コサメビタキは繁殖期の確認場所の密度からVUに選定した。コガラについては釈迦岳山地,筑肥山地に比較的普通に生息していることが判明したことから,選定しなかった。今回ランク検討を行う中で,アオシギ,トラフズクについては推定される生息状況に対して確認情報が少なく,DDに選定し,次回改訂に向けて生息状況の把握に努めることとした。ビロードキンクロ,オオセッカの2種はレッドリスト検討中に新たな越冬地に関する知見が得られたものの,まだ情報の蓄積が不十分と考えられたため,DDに選定した。キジは県内の生息状況が放鳥事業に依存していることが明らかとなり,在来個体群がどの程度生息しているか,遺伝子レベルの検討が必要とされることから,DDとして判断を保留した。
検討過程において,筑後平野および佐賀平野では,カササギが以前と比べると減少しているのではないかという意見があり,絶滅危惧種として検討すべきではないかと議論が行われた。減少要因としてカラス類との競合による影響と考えられ,NTに選定すべきとの意見も出たが,この地域のカササギは1600年代に人為的に移入された可能性が高いことから(江口・久保,1992),外来種は選定しないという原則に準じて選定は見送った。また,県内の玄界灘沿岸の個体群については遺伝子レベルの研究により,朝鮮半島からの飛来が示唆されており,他の外来種とは異なる事情も有している。このように長い歴史を通じて地域に根付いた外来種の取り扱いについては次回以降への課題としたい。