福岡県レッドデータブック

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各分類群の概論

概要

今回の福岡県産魚類の希少種選定では,前回のレッドデータブック(福岡県,2014)編集時に作成した1.5次リストを近隣県のレッドデータブックおよびレッドリスト記載情報などを加味しながら改訂する作業から始め,約450種を選定対象とした。なお学名未決定の種であっても,その実体が定義されているとみなされる種(渋川ほか,2019など)については選定の対象とした。その後,5名の分科会委員で協議を行い,IUCN,環境省,近隣県レッドデータブック掲載状況,最近の調査結果を加味して,国外,国内外来種を除いた126種に絞り込んだ。続いて,それぞれの委員が保有する魚類調査データ(未発表データを含む)や文献データを含め,前回評価時からの分布域の減少などの数値情報に基づき,掲載種を選定した。また,十分なデータがない種については追加調査を行い,評価を行った。最終的な掲載種数は109種となった。なお,海産魚類のいくつかの種については,外部の専門家(長崎大学教授 山口敦子博士)に情報提供していただいたことをここに付記したい。

今回の新規掲載種は36種で,その多くは前回では評価されなかった海産魚類であった。それ以外の魚類の多くは近年,分布調査が広域的に行われ,その分布の局所性あるいは狭小化が明らかになった魚種である。また,ニッポンバラタナゴやアリアケギバチはその生息地の改変以外に,国外・国内外来魚との交雑や競争(日本魚類学会自然保護委員会,2013)によりリスクが増大した魚種である。また,ミナミメダカ,ゼゼラやツチフキなどは,未発表データを含め,集団遺伝学的な解析により養殖品種や県外の個体群の侵入が確認され,在来個体群との雑種化などのリスク(日本魚類学会自然保護委員会,2013)を伴う魚種である。また,タナゴ類については生息場の改変に加えて,産卵に淡水二枚貝を必要とするため,その母貝の減少がリスクを増大させている。なお,前回のレッドデータブック改訂以降に,ハカタスジシマドジョウとセボシタビラが,環境省の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種ならびに福岡県希少野生動植物種の保護に関する条例に基づく指定希少野生動植物に指定されたこと,アリアケヒメシラウオが種の保存法の国内希少野生動植物種に,カワバタモロコが同特定第二種国内希少野生動植物種にそれぞれ指定されたことを付記しておく。

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