生育環境と保全対策
地衣類の生育環境は大変広く,光さえあれば地球の陸地で,何らかの種が暮らしている。一方,大気汚染には一般に弱い。おそらく,共生関係に何らかの障害があるのであろう。また,地衣類は成長が極めて遅い。そのため,劇的に消失する可能性がある。
1970年代以前に,大内氏が採集した標本は,服部植物研究所に収められているが,ヨシノミヤマクグラをはじめ,どの標本袋も豊かに採集されている。現在英彦山では,調べた限りでは見られなくなっている。急激に姿を消した原因には,地衣類を食べる動物(貝類,昆虫類)の可能性もあるが,正確に種を区別する傾向のある捕食活動なら,全ての地衣類の一般的な現象は説明できない。地球全体の環境変化による温暖化,乾燥化,あるいは大規模な大気汚染が考えられる。
現実的に可能な保全対策としては,対象種付近での森林伐採,宅地造成などを慎重にすることが挙げられる。