保全対策
淡水性カメ類では,産卵,冬眠および甲羅干しなどの生活のすべてのサイクルが河川や池沼とその周辺に依存している。このため,包括で連続的な自然環境の保全が重要である。海性のアカウミガメでは産卵に必要な奥深い砂浜が重要で,特に産卵期には人が安易に砂浜へ立ち入らないような対策の検討が必要である。ヘビ類では餌動物の増減によって個体数が変動するため,餌動物の生息環境を含めた保全が重要である。
また,県内では過去にワニガメ,カミツキガメ,ハナガメ,オオトガケ類やシャムワニの捕獲例があり,これらは飼い主が遺棄したり,逃亡したりして野外でみつかったとみなされる外来種である。ニホンイシガメとハナガメとの交雑とみられる個体も採取されている(鈴木 大,私信)。また,最近ではコンテナに紛れて発見されたタイワンスジオ(ヘビ)やホオグロヤモリの記録もある。ペットの遺棄は論外だが,このような外来種の侵入にも注意しなければならない。また,近年特に憂慮すべき外来種が哺乳類のアライグマで,県内全域に生息地を広げている。すでにニホンイシガメで食害も確認されており,捕食されたと思われるヘビ類の死体もみつかっている。これは爬虫類にとって脅威で,アライグマ駆除は最重要で取り組むべき案件と考える。