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種の解説

保全対策

今回選定された群落の危機要因について表 群落-3に示す。要因数順に挙げると,自然災害(25件),遷移進行(20件),海岸開発(17件),河川開発(15件)などであった。 自然災害は1991年の台風被害に起因するものが主なものであった。20年が経過した現在においても植生は回復途上にあると考えられるので,今後も継続的なモニタリングが望まれる。 遷移進行を危機要因とする群落のうち,ススキ草原やコナラ群落などの二次植生(二次林,二次草原)については,今後,群落維持のための人的管理の仕組みなどを整えていく必要がある。コイヌノハナヒゲ群落やシロイヌノヒゲ群落などの自然植生についても,遷移進行を抑制する生態学管理方法などについて検討が望まれる。 海岸開発や河川開発を危機要因とする群落の多くは草本群落であった。その中には,フクド群落,ハママツナ群落などのように自然公園域に隣接する群落も見られるので,自然公園の拡張なども保全施策として有効と考えられる。 以上のように,遷移進行,海岸開発,河川開発の影響を受ける群落には,前述のとおり,対策の緊急性が高いカテゴリーⅠおよびⅡに評価された草本群落が多い。従って,中間湿原,浮葉・沈水草原,塩沼地植生などの水辺域の草本植生に対する保全対策が早急に望まれる。

一方,今回,RDB2001では取り上げられなかった危機要因として,シカ増加が9群落で挙げられた。それらはブナクラス域またはこれに隣接する植生であった。特にツガ群落,ミズナラ群落,シオジ群落,ミヤコザサ群落,モミ群落の5群落は,前述のとおり,シカ増加が主な要因となってカテゴリーランクが上昇した。従って,県内のブナ林域におけるニホンジカの生態学的管理対策も早急に望まれる。

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