福岡県レッドデータブック

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各分類群の概論

選定基準

今回の改訂では,環境省レッドリストとRDB2014の基準を参考に,新たに昆虫類の選定基準を整理した。環境省の基準では定量的な評価が採用されているものの,昆虫類については,一部の分類群を除き,県内で分布実態や減少傾向が十分に解明されていないために定量的な評価が難しく,前回に続いてハビタットの減少傾向から代替的に減少傾向を評価した種もある。なお,生息地面積については広範囲を移動する種もいるため,その種の生活史上必要な最も小さな環境の面積(繁殖地面積など)を判断基準とした。いずれにしても,個体数の増減傾向の程度を重視してランクの評価を行い,「記録が少なく珍しい種」の多くは,情報不足とした。また,過去に数例のみ記録されている種については,標本および文献を精査し種同定の確認を行った。以下に今回用いた選定基準の概要を示す。

  • 絶滅(EX)

    (1)県内に生息していたことが確実で,最後の個体が死亡したことに疑いがない。(2)信頼できる調査が継続されているにもかかわらず,生息が確認できない。(3)50年以上確認情報がない。

  • 絶滅危惧I類(CR+EN)

    (1)既知のすべての個体群で危機的水準まで減少(減少率80%以上),(2)既知のすべての生息地で生息条件が著しく悪化あるいは再生産を上回る採集圧にさらされている(成熟個体数が250未満でかつ3年間もしくは1世代で25%以上の減少率もしくは成熟個体数が50未満),(3)生息地が過度に分断されているか1地点のみ,(4)近年(30~50年)の生息情報がないが絶滅したかどうかの判断が難しいもの。

  • 絶滅危惧IB類(EN)

    (1)既知のすべての個体群で危機的水準まで減少(減少率50%以上),(2)既知のすべての生息地で生息条件が著しく悪化あるいは再生産を上回る採集圧にさらされている(成熟個体数が2,500未満でかつ5年間もしくは2世代で20%以上の減少率もしくは成熟個体数が250未満),(3)生息地が過度に分断されているか2~5地点。

  • 絶滅危惧II類(VU)

    (1)大部分の個体群で危機的水準まで減少,(2)大部分の生息地で生息条件が著しく悪化,(3)大部分の個体群で再生産を上回る採集圧にさらされている,(4)分布域の相当部分に交雑可能な別種が侵入している。

  • 準絶滅危惧(NT)(※絶滅危惧種ではないが希少である種)

    (1)個体数が減少している,(2)生息条件が悪化している,(3)過度の捕獲・採集圧を受けている,(4)交雑可能な別種が侵入している。

  • 情報不足(DD)(※科学的な情報が不足しているだけで希少であると判断される種)

    (1)どの生息地においても生息密度が低く希少,(2)生息地が局限,(3)生物地理学的に孤立した分布特性を有する,(4)生活史の一部または全部で特殊な環境条件を必要とする。

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