福岡県レッドデータブック

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種の解説

ハビタット

希少なクモ形類の生息環境として,福岡県内では以下の環境が挙げられる。

  • (1) 自然海岸・ヨシ原

    ヒトハリザトウムシは砂浜と海蝕崖を伴う自然海岸や河口域のヨシ原などが主な生息環境である。しかし,海岸沿いに道路や護岸が建設されているところではみられなくなると報告されている。

  • (2) 山地の森林

    県内の代表的な森林環境として英彦山地が挙げられる。ザトウムシ類は,一般に適度な湿度が保たれた森林に生息することが多く,人里に近い二次林などには少ない。特に,英彦山をタイプ産地として記載され,英彦山地を主要な生息域としている種として,ヒコスベザトウムシ,ヒライワスベザトウムシ,ヒメタテヅメザトウムシの3種を選定した。一方,クモ類では,ダイセンヤチグモが英彦山の標高1000 m付近から上の森林に限って確認されている。

  • (3) 二次草地(半自然草原)

    二次草地は人為的な管理によって維持されてきたが,生活の変化によって利用されなくなった脆弱な環境である。本県でも,山地草原の消失にともなって多くの植物が絶滅あるいは絶滅危惧種となっている。アカオニグモは北日本に多く,西日本では比較的標高の高い草地などに生息するため,山地草原の指標として重要である。しかし,福岡県では古い確認記録はあるものの,今回の調査では確認することができなかった。

  • (4) 里地・里山

    水田やその周辺の草地・二次林などからなる環境は,昆虫類が多くクモ形類の重要な生息環境である。しかし,全般的な減少傾向は予想されるが,特に種として選定するものは特定できなかった。ただし,コガネグモは減少傾向が知られており,農業形態の変化などによって餌となる大型昆虫の減少が影響していると考えられる。二次的自然の代表種として,今後の生息状況の変化を把握することが望ましい。

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