リアルタイム生物季節
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冬の寒空の下、ナンテン(南天)の赤い実が目立つ今日この頃。今年も早いもので、もう年末ですね。ナンテンは「難を転じる」に通じることから、古くから縁起のある庭木として親しまれ、しめ縄や門松などの正月飾りを彩る植物として欠かせません。また、葉には抗菌作用があるとされ、お祝い事の赤飯や魚料理に添えられます。
縁起物のナンテンの写真とともに、歳末のご挨拶とさせていただきます。良いお年をお迎えください。
【2024年12月26日】
晩秋~冬に黒紫色に熟すシャシャンボの果実。今年もよく実っています。花崗岩地帯の里山林など、酸性土壌のやせた土地に生育するツツジ科の常緑低木で、ブルーベリーの仲間です。少し野性味のあるブルーベリーといった風味で、ジャムに加工すると大変美味です。シャシャンボは身近な生きもの図鑑にも解説があるので、ぜひ見てみてください。
この時期は他にも、ムクノキ、エノキ、コバノガマズミ、ナナカマド、カラスザンショウ、エゴノキ、ヤブムラサキなどの様々な果実が熟し、茶色になった木々に彩りを添えます。また、これらの果実はヒヨドリなどの鳥たちの大好物です。鳥の賑やかな声が聞こえてきたら、何を食べているのかな?と目を向けてみてはいかがでしょうか。
【2024年12月13日】
12月7日から、二十四節気の大雪(たいせつ)に入ります。既に寒さが身に染みる気候ですが、今週末はさらに冷え込む予想となっていますので、体調にお気をつけください。
さて、平野部では紅葉が見ごろを迎えています。紅色に色づくイロハモミジやドウダンツツジ、黄色が鮮やかなイチョウ、橙色のサクラや茶色のメタセコイアなど、周りの景色が様々な暖色系の色に染まっています。日本には、枯葉色や朽葉色など落葉の色を語源にした伝統色がいくつもあります。文化的な側面からも紅葉・落葉を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【2024年12月4日】
昨日10月9日から、福岡県保健環境研究所でキンモクセイの甘い香りが漂い始めました。つぼみは写真のようにまだわずかしか開いていませんが、しっかりと香りが出ています。
2年前のリアルタイム生物季節では、同所で9月26日に開花したことを記事にしており、今年は約2週間遅い開花となりました。
キンモクセイの香りは香料や天然精油などとして多くの製品に利用されていますが、その香りがオレキシンという神経伝達物質に作用して食欲を抑える効果があるという報告があり、着目されています。秋を告げるキンモクセイの香り、リラックス効果もあるそうですので、ぜひご堪能ください。
【2024年10月10日】
週末の雨が明けてから、昼間の暑さが少し和らいできましたね。9月22日から二十四節気の「秋分(しゅうぶん)」に入り、季節は秋に移り変わろうとしています。秋分の日とその前後3日間は、秋のお彼岸の時期。これに合わせるように、ヒガンバナが咲き始めています。
ヒガンバナは、春から球根内の花芽の分化がはじまりますが、夏の暑さで花芽の発育が抑えられ、気温が低下すると発育・開花がはじまります。保健環境研究所近くの水田では、今年はまさに秋分の日である9月22日にヒガンバナの初開花が確認されましたが、過去3年に比べると1~2週間遅い開花となりました。今年の夏の暑さはそれだけ長引いた、ということなのでしょう。皆さんの地域はいかがでしょうか?
【2024年9月24日】
先週の8月28日から、七十二候の「天地始粛(てんちはじめてさむし)」に入りました。その名のとおり、夏の暑さが和らいでくる頃という意味です。日中はまだ30℃を超える厳しい暑さが続いていますが、夜間の気温は少し下がってきており、夜にはバッタ類の声もよく聞こえるようになってきました。
ということで、夜によく目立つ声で鳴くバッタ類をいくつか紹介しましょう。
スズムシ「リーンリーン」
エンマコオロギ「コロコロリーリーリー」
カネタタキ「リッ リッ リッ」
マツムシ「チンチロリン」
アオマツムシ「リーリーリー」
ニシキリギリス「ギリリリリーッチョン」(右の写真)
秋の訪れを感じさせる虫の声に、耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
【2024年9月2日】
8月2日から、七十二候の「大雨時行(たいうときどきふる)」に入りました。猛暑が続く中、青空には白く立派な入道雲が映えていて、夏らしさを感じる空模様が広がっています。入道雲の下では、夕立やにわか雨がよく起こることから、大雨時行という暦がつけられました。
さて、皆さんのまわりでも、毎日セミの大合唱が聞こえるのではないでしょうか。夏の季語である蝉時雨(せみしぐれ)は、たくさんのセミが一斉に鳴く様子を、雨の降る音に例えた言葉です。暑い気分を助長するようにも感じられるセミの声ですが、雨の音に見立ててみると、少し暑さが和らぎませんか。
【2024年8月5日】
今日から七十二候の「蓮始開(はすはじめてひらく)」に入ります。水辺ではハスの花が咲き始めていますが、陸地ではキキョウの花が咲き始めています。キキョウは秋の七草の一つに挙げられ、秋の季語になっていますが、花の時期は7月~10月頃までと長いです。福岡県保健環境研究所では、生息域外保全としてキキョウを栽培しており、7月5日に今年初めての開花を確認しました。
これからますます暑さが厳しくなります(今も既に暑いですが)。熱中症に気をつけつつ、暑い中で咲く可憐な花たちに目を向けてみてはいかがでしょうか。
【2024年7月12日】
セミの声が聞こえてくる季節となりましたね。福岡県保健環境研究所の構内では、毎年、セミの初鳴き日を観測しています。今年はニイニイゼミ(写真)が6月24日、クマゼミが6月29日、アブラゼミが7月8日となり、観測をはじめた過去3年間とほとんど同じ日にちでした。これから暑さが増すにつれてセミの羽化がさらに進み、皆さんのまわりの自然もより賑やかになってくることでしょう。
【2024年7月11日】
昨日6月16日から、七十二候の「梅子黄(うめのみきばむ)」に入りました。 福岡県保健環境研究所でも、梅の実が黄色く色づいており、場所によっては実が落ちていました。
梅のつく言葉である梅雨、九州北部ではそろそろ梅雨入りする予想となっています。梅雨の語源は諸説ありますが、そのひとつとして「梅の熟す時の雨」を意味するとされています。梅雨の生きものというとアジサイやカタツムリ、ニホンアマガエルなどを連想する人が多いかもしれませんが、梅の色づく様子も観察してみてはいかがでしょうか。
【2024年6月17日】
今週初めから、二十四節気の「小満(しょうまん)」に入りました。この時期は気温が高くなり、草木や花々、鳥や獣、虫たちが活発になり生命が輝くころです。この様子から、万物長じて草木が茂り、天地に満ちる、ということで小満と言われています。
さて、太宰府市内の森林では、5月に入って子連れのイノシシの姿が見られるようになりました。様々な動物たちの出産シーズンがはじまっています。
【2024年5月23日】
新しい年度を迎え、今がサクラが満開という場所も多いことでしょう。今年度も、生きものが織りなす季節の移り変わりを皆さんにお伝えしていきたいと思います。
さて、明後日4月4日から二十四節気の「清明」に入ります。すべてのものが清らかで生き生きとする頃とされる清明、その初候(七十二候)が「玄鳥至(つばめきたる)」です。
ツバメは、暖かい東南アジアで冬を過ごした後、長旅を経て日本の地で繁殖をします。県内では3月中ごろからその姿が見られはじめています。頭上で元気に飛び交うツバメの姿を目にすると、本格的な春の訪れを感じるのではないでしょうか。
【2024年4月2日】