アカガシ群落は，北部九州の山地に特徴的に分布する，照葉樹林帯最上部の群落である。県内の山地でも普通に見られ，標高600ｍ付近から群落を形成する。

アカガシは，一般に600ｍ以上の標高を持つ山の尾根筋から斜面中部にかけて群落を形成しており，脊振山地や釈迦岳山地，英彦山地などでは，標高900ｍ付近にまで達している。しかし，山頂付近にはあまり見られず，中腹から山頂直下にかけての雲霧帯で群落の発達が認められる。

高木層はアカガシのほか，高い場所ではコハウチワカエデ，ブナ，ウラジロノキなどを混じえ，低い所ではモチノキなどを混じえる。胸高直径の最大値は81cm(大根地山)で，良好な林分では40～60cmの個体が最も多い。亜高木層以下ではヤブツバキ，クロキ，シロダモ，アオキ，ハイノキ，シキミ，カクレミノなど照葉樹林の標徴種を多く含み，このほか草本層を中心にツルシキミ，キジノオシダを伴うのが特徴的である。

アカガシは，薪炭材や各種用材に適していることから，古くより定期的な伐採を受け，しばしば純林状の萌芽林を形成している。しかし，自然林として極相状態で安定した群落は少なく，宝満山や砥石山，鬼ヶ鼻，大根地山，福智山などの山々の一部で，良好な群落が認められるのみである。