スダジイ群落
Myしおりとは、あとでもう一度閲覧したい種の解説ページを保存し、いつでも見直すことができる機能です。このボタンを押すことで本解説ページをMyしおりページにブックマークし、Myしおりページへ移動します。
群落の特徴 | スダジイ群落はヤブツバキクラスの自然植生の中では,コジイ群落とともに最も代表的なものであり,西日本の各地に見られる。福岡県におけるスダジイ群落は,主に沿海地および標高の高い箇所の常緑林に見られ,北九州,宗像,粕屋,福岡,糸島の沿海地および県内各地の標高400~700 の地域に多い。そしてこれらの地域の尾根筋,土層の薄い斜面,岩石地など主に乾燥した土壌に成立する。コジイ群落と同様,分布域は人間の活動範囲と重なっており,残存するスダジイ群落も大なり小なり人為的な影響がうかがわれる。またスダジイ群落とされた林分にコジイが含まれる場合も多い |
---|---|
群落構成 | 沿海地のスダジイ群落は,大まかには
これらの林分は,いずれも上層はスダジイが優占するものの,林分によってはヤマモモ,イチイガシ,ウラジロガシ,ヤブニッケイ,タブノキ,ヒメユズリハ,コバンモチなどが混生している。樹高は15 ,胸高直径70~80cmを越えるものもある。 前後,胸高直径は20~50cmのものが多いが,まれに樹高20亜高木~低木層では高木層構成樹種のほか,センリョウ,ヤブツバキ,ヒサカキ,タイミンタチバナ,アオキ,カクレミノ,ネズミモチ,クロキ,ミミズバイなどが見られる。草本層はまれにコバノカナワラビやホソバカナワラビ,ツルコウジなどが林床を覆うこともあるが,一般に貧弱で,オオカグマ,ベニシダ,ヤブコウジ,テイカカズラ,オオアリドオシ,ヤブラン,ナガバジャノヒゲ,ハナミョウガなどが低い被度で見られる程度である。 本県のスダジイ群落はミミズバイ,オオカグマ,イチイガシ,センリョウ,ツルコウジなどを標徴種とするスダジイ-ミミズバイ群集,あるいは特有の標徴種を欠き,丘陵地や尾根部など乾性立地に生じるスダジイ-ヤブコウジ群集に同定されている。 高標高地のスダジイ群落はスダジイの優占度が低く,比較的若い林分が多い。ここでの高木~亜高木層はスダジイのほか,アカガシ,ウラジロガシ,タブノキ,カゴノキ,イスノキ,シキミなどの常緑樹やイヌシデ,アカシデ,ミズメ,リョウブなど落葉樹を含む。かつてはアカマツの多い林分もあったが,虫害や台風によりアカマツはほとんど消滅した。低木層はバリバリノキ,ハイノキ,ヤブツバキ,ヒサカキ,ネズミモチなど,草本層はツルシキミ,キヅタなどで構成される。 |
保存状況 | 神社林のスダジイ群落は表面上保護されているように見える。しかし,駐車場やゲートボール場のため一部が伐採されたり,下草の刈り取りや林内への立ち入り,下木植栽などの人為介入が見られる。山地や河畔のスダジイ群落は新たな人工林化はほとんど見られないが,道路建設などにより消滅,分断されている箇所もある。1991年の台風被害では,再生能力に劣るスダジイに集中的に被害が発生し,林床の陽地化に伴う構成種の変化が見られる。 |
群落評価 | B(福岡県) |