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種の解説

クロマツ群落

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RDB2001概説

画像:クロマツをはじめとする植物が密生している。クロマツ群落。背の低い植物は少なく茶色い地面が見えている。

福岡市東区 冷川昌彦

分類群 植物群落
RDB2001カテゴリー カテゴリーⅡ
群落の特徴

筑前・豊前の砂丘では,潮風飛砂害から後背の農地や集落を保護するため,藩政初期(1600年頃)から藩営・民営でクロマツの大規模な造林事業が推進された。本格的な植林が始まるまでの海岸砂丘の景観は,風衝形を呈したクロマツの疎林と砂丘草原であったと推定される。第二次大戦中は航空機燃料改良材に,クロマツから松根油が採られた。戦後は広範囲に虫害が発生し,また,都市の膨張やレジャーの多様化により,市街地やゴルフ場化した林分も多く,博多湾岸では著名な松原が消滅した。

群落構成

成熟したクロマツはおおむね風衝形を呈している。群落高は林齢のほか,風衝の程度に応じて変化する。上層にクロマツが優占し,中層以下に照葉樹が密生する高木林では,一般に腐葉土層は厚い。この型では,クロマツが病虫害で枯れると中層の照葉樹が目立ち,照葉樹林状態になる。高木のクロマツには下枝が無い。

上層にクロマツが優占し,中層は疎開,地表に草本やコケ類が密生または疎生する高木林では,林床植物が少なく,落ちた松葉だけが目立つ林分もある。腐葉土層は薄い。クロマツは下枝を欠く。

成林途上の亜高木林では,クロマツ以外の植物は少なく密林状態である。下枝はほとんど枯れて,成長とともに落下する。密度は自然間引きにより漸減する。砂浜に植栽後間もない低木林では多数の砂浜植物が残る。風倒病虫害跡地に補植した場合は,前世林の草本や稚樹のほか,路傍植物が生じる。

保存状況

病虫害による枯損が常時見られる。腐葉土層の厚いクロマツ-照葉樹型の林分では,クロマツが病虫害で枯れ,照葉樹林化することが多い。補植,枯損木の伐倒,搬出,薬剤処理,病虫害防除などの森林管理はおおむね行き届いている。しかし,不法な伐採や砂の採取が行われている事例もある。

群落評価 C(福岡県)
補足情報

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