キイロネクイハムシ
学名:Macroplea mutica japana (Jacoby)Myしおりとは、あとでもう一度閲覧したい種の解説ページを保存し、いつでも見直すことができる機能です。このボタンを押すことで本解説ページをMyしおりページにブックマークし、Myしおりページへ移動します。
分類群 | 昆虫類 |
---|---|
目名 | コウチュウ目 |
科名 | ハムシ科 Chrysomelidae |
RDB2001カテゴリー | 絶滅 |
環境省カテゴリー | 絶滅危惧Ⅰ類 |
生息状況・危機の状況・選定理由 | 日本で最初に採集された1880年以降,現在までに7カ所で少数個体が採集されただけで,1962年に福岡市香椎で採集された1頭が日本での最後の記録となり,その後の徹底した調査でも発見されていない。福岡での採集地は香椎高校奥の小さな池で,現在は住宅になっている。キイロネクイハムシの既知産地はいずれも平地から低山地で人間生活圏に近いことから,埋立や水質汚染などの影響で生息環境が失われた結果絶滅したと推定される。 |
---|---|
分類・形態 | 本種を含むキイロネクイハムシ属はヨーロッパから日本にかけて5種1亜種が分布し,ミズギワハムシ亜科の中では,脚の付節が円筒形で,第3節は2裂しないことと,爪が直角に開くことで北米のNeohaemonia属に近似する。日本産は独立種とされてきたが,Medvedev(1982)によってヨーロッパからシベリアにかけて広く分布するmuticaの亜種とされ,木元(1994)もこの扱いにしたがっている。 体長は4.2~4.5mmで,体の腹面は黒く,背面は黄褐色で,頭部,触角,および前胸の3筋は黒い。上翅端の外角は棘状に突出する。ハムシ科のほとんどは,脚の付節が多少とも偏平となって下面に短毛が密に生え,幅広い第3節は先端中央で深く切れ込む特徴を持つが,キイロネクイハムシ属は例外で,付節は第1節から3節まで円筒形で下面にほとんど毛がない。 |
分布情報 | MAP |
分布(県外) | 現在までの採集記録として,横浜市,沖縄本島,千葉県松戸市,兵庫県西宮市,兵庫県宝塚市,琵琶湖,および泥炭中の生物遺体として東大阪市の約650年前の地層と山梨県忍野の約6000年前の地層がある。日本では同好者によって熱心な調査が行われているにもかかわらず,福岡の記録以降は採れていない。 |
分布(国内) | ロシア沿海州,中国遼寧省,甘粛省(?),江蘇省。原亜種はヨーロッパからシベリアにかけて広く分布するが,生息地は離れて点在している |
生活史・生態・生息地 | 日本での採集記録から,本種もほかのネクイハムシ同様水質のよい池や沼などでスゲやヒルムシロなどの水生植物を食べ,成虫は水際の茎に静止し,幼虫は根を食べていたと推定される。ちなみにヨーロッパ産の原亜種は,北海沿岸近くでヒルムシロの仲間を食べるという。松戸市ではカエルの,また琵琶湖ではホシハジロの胃袋から見つかっている。 |
生息環境 |
|
執筆者 | (森本) |