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種の解説

クロシジミ

学名:Niphanda fusca (Bremer & Grey)

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RDB2001概説

画像:翅に褐色の斑点を持つチョウ。クロシジミ。花にとまっている。

福岡市早良区 福田 治

分類群 昆虫類
目名 チョウ目
科名 シジミチョウ科 Lycaenidae
RDB2001カテゴリー 絶滅危惧Ⅰ類
環境省カテゴリー 絶滅危惧Ⅰ類
生息状況・危機の状況・選定理由

1894年に英彦山で採集された記録が本県最初の記録とされる。1950~60年代は県内各地で普通の種として見られた。しかし,1980年代から減少しはじめ,また全国的にも本種の衰亡が深刻となった。このため採集による減少も懸念される。本種の生息地は人為による環境改変を受けやすく,県内でも生息環境の変化が衰亡の主要因と考えられる。日本産蝶類県別レッドデータリストにおいても「危急種」とされている。

分類・形態

前翅長は約19(雄)~約21(雌)。裏面の地色が褐色のものと,著しく白化したタイプのものがあり,地域によってその出現の割合が異なる。県内では褐色系が多いが,白化系のものもしばしば現れる。

分布情報 MAP
分布(県外)

本州(東北地方中部以南),四国,九州

分布(国内)

中国大陸(西・北部),朝鮮半島

生活史・生態・生息地

幼虫は純蜜食性で,1~2齢はアブラムシやキジラミの分泌液を吸汁する。2齢幼虫期にクロオオアリによって巣に運ばれ,アリから口移しで吐き戻した餌を給餌される。このアリとは相利共生的な食物関係があるようである。成虫の訪花植物はヒメジョオン,クララ,タチツボグサ,フジバカマ,ワレモコウ,アカメガシワなど。生息地は,クヌギ・コナラ・カシワなどの疎林,アキグミの生えた草地,マツ・ヒノキなどの幼木のある草地,クワ畑,ゴマ,オニユリなどの畑など,人手の加わった遷移的な環境である。また,アブラムシ,キジラミ類の多いこと,クロオオアリが生息していることも不可欠の生息条件となる。

生息環境
  • 低地森林
  • 草原
  • 山地森林
執筆者 (矢田・井手・福田)
補足情報

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