ヤマノカミ
学名:Trachidermus fasciatus HeckelMyしおりとは、あとでもう一度閲覧したい種の解説ページを保存し、いつでも見直すことができる機能です。このボタンを押すことで本解説ページをMyしおりページにブックマークし、Myしおりページへ移動します。
生息状況・危機の状況・選定理由 | 県外での状況と比べると,県内では採集例が比較的多い。本種は遡上力が極めて弱いため,河口堰や取水堰の設置により遡上が阻害され,稚魚期以降の主生息場所を失うことが懸念される。 |
---|---|
分類・形態 | ヤマノカミ属は1属1種で,カジカ属の7種とは後頭部と頬部に隆起線があること,棘状変形鱗が顕著で成魚でも皮下に埋没しないことで識別できる。前鰓蓋骨後端には4本の棘があり,第1棘は鋭く上後方に湾曲する。側線は完全で,側線孔数は33~38である。体色は暗黄褐色で頭部と体側に黒色帯がある。鰓膜は鮮やかな赤橙色を呈する。 |
分布情報 | MAP |
分布(県外) | 長崎県諫早湾南東部から熊本県緑川に至る有明海湾奥部沿岸域とその流入河川に分布する。なお,長崎県諫早湾締め切り工事により,その近辺の流入河川のヤマノカミは激減している。 |
分布(国内) | 朝鮮半島南西部から中国の遼寧省から淅江省の沿岸部とその流入河川 |
生活史・生態・生息地 | 本種は降河回遊型の生活史をもつ。河口付近の海域で1~3月に,カキやタイラギ空殻に雄がなわばりを形成して雌とつがい,その内面に卵塊を固着させる。産卵数は1000~8000個で,卵径は2.0~2.2mmである。雄は孵化まで卵の保護を行う。孵化仔魚は体長6.9~7.3mmで浮游生活を送り,かい脚類を主食とする,4月には18~19mmに達して稚魚になり,河川遡上を開始する。11~1月に体長100~150mmに達し、産卵のために川を下る。本種のほとんどが繁殖後生涯を終える年魚である。 |
生息環境 |
|
執筆者 | (竹下) |