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種の解説

ヒナモロコ

学名:Aphyocypris chinensis Gunther

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RDB2001概説

画像:流れの緩やかな河川のよどみや細流と浅い池にすむ魚。ヒナモロコ。

田島正敏

分類群 魚類
目名 コイ目
科名 コイ科 Cyprinidae
RDB2001カテゴリー 絶滅危惧ⅠA類
環境省カテゴリー 絶滅危惧ⅠA類
県内地域カテゴリー 豊-分布しない,筑-絶滅,有-絶滅危惧ⅠA類
生息状況・危機の状況・選定理由

最大全長7位。1960年代までは,博多湾と有明海湾奥部に注ぐ河川流域の平野部にいた。1980年代には浮羽郡田主丸町片ノ瀬で5尾獲れたのみ。現在ここにはいない。1994年,筑後川水系巨瀬川に注ぐ農業用水路で80尾を発見た。その生息地は直線で約300,水路の幅は80cm,深さは30~40cmで,冬には水も涸れる悲惨な状況であった。現在はこれらを水槽内で繁殖させ,幼魚を発見場所や近くに放流したものが定着しつつある。そのほか,片ノ瀬産5尾の子孫を福岡市が西区金武の人工池で,現在,保全中。

本種の生息環境は,農業との係わりが深く,その近代化や都市化に伴う田畑の宅地化によって悪影響を受けた。

分類・形態

体形はカワバタモロコに似るが,それよりも体高が低い。肛門の前方の竜骨状皮膜は,カワバタモロコより低い。また体色が淡褐色で地味なうえ,産卵期の雄にも鮮やかな黄金色があらわれないこと,咽頭歯が2列(カワバタモロコは3列)などの点で区別される。雄は一般に雌より小型。

分布情報 MAP
分布(国内)

朝鮮半島の南側と西側,中国東北地方の黒竜江から黄河と長江流域を経て,華南の平野部や雲南省,四川省に至る広大な分布域をもつ。

生活史・生態・生息地

流れの緩やかな河川のよどみや細流と浅い池にすむ。天然水域では,4月から産卵を開始する。気圧,もしくは雨や温度差に反応し産卵行動を開始する。多くは早朝から産卵を始め,数尾の雄が雌を追いかける。雄に青い縦帯が出て雌の鱗が傷ついていればおよそ産卵行動の後である。卵は小さく径1.0ほど。水草などに1個ずつ付着する。孵化仔魚は全長2.8ほどで,水草などに垂直にとまってあまり動かない。1年で6ほどになり親と同じ大きさに成長し,成熟する。

法令などの指定状況

田主丸町の天然記念物

生息環境
  • 水田・水路
  • 河川
執筆者 (高山)
補足情報

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