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種の解説

カワバタモロコ

学名:Hemigrammocypris rasborella (Fowler)

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RDB2001概説

画像:河川下流の水草の多い緩流域や池沼などに見られる魚。カワバタモロコ。

田島正敏

分類群 魚類
目名 コイ目
科名 コイ科 Cyprinidae
RDB2001カテゴリー 絶滅危惧ⅠA類
環境省カテゴリー 絶滅危惧ⅠB類
県内地域カテゴリー 豊-情報不足,筑-野生絶滅,有-絶滅危惧ⅠA類
生息状況・危機の状況・選定理由

かつては博多湾と有明海に注ぐ河川の平野部に分布していた。最近は1997年~1998年に矢部川水系の用水路で確認されたのみである。筑後川水系でも1980年代には少数ながら生息していた。生息域が人間活動の場と重複するため,強く影響を受けた。宅地化や農業用水路の改変,生息環境の荒廃のほか,ブルーギルなどの外来魚による捕食圧など,本種の生存に対する圧力は増大傾向にある。

分類・形態

体長は4cmほどであるが,雌は雄よりも大きくなる。ヒナモロコに似るが,体高がやや高いこと,腹鰭基底部から肛門にかけて著しく側扁し竜骨状になっていること,および産卵期の雄が極めて鮮やかな金色の婚姻色を現すことなどで区別できる。鱗は非常にはげやすい。

分布情報 MAP
分布(県外)

静岡から広島までの本州太平洋側,四国の瀬戸内海側,九州北西部の平野部に分布。日本固有種。

生活史・生態・生息地

河川下流の水草の多い緩流域や池沼,または流れがなく浅い泥底~砂泥底の農業用水路などに見られる。産卵期は5月中旬~7月下旬。卵は直径1.0mmほどの粘着卵で,沈水植物や冠水した陸上植物などに産みつける。

食性は雑食性で,付着藻類や水生小動物などを食べる。本種のような止水性の小魚の常として,成長のためには水田のような一時的水域との連絡性の良さが重要な条件の一つである。また主要な生息環境である用水路は,冬季には水温がを下回る日々が続き,夏季にはを越え,時には干上がることさえある環境であるため,ため池や河川下流部などの安定した水域への連絡性の良さも重要である。

生息環境
  • 湿原・池
  • 水田・水路
  • 河川
執筆者 (田島)
補足情報

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