カスミサンショウウオ
学名:Hynobius nebulosus (Temminck & Schlegel, 1838)Myしおりとは、あとでもう一度閲覧したい種の解説ページを保存し、いつでも見直すことができる機能です。このボタンを押すことで本解説ページをMyしおりページにブックマークし、Myしおりページへ移動します。
生息状況・危機の状況・選定理由 | サンショウウオ類の中では数少ない低地性の種で,山際や丘陵地に接した郊外の人家や耕地の近くに生息することが多い。近年,このような場所は宅地開発などによって急速に失われつつあり,絶滅が危惧される。実際に過去の生息地がすでに消滅している所も多く,今後この傾向がますます加速される可能性が高い。 |
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分類・形態 | 全長7~10cmの小型のサンショウウオ。体は細長く,四肢は短い。頭は偏平で,眼は小さく突出する。背面は黄褐色~黒褐色。一般に尾の上下は黄色で,雄の尾は雌に比べて上下の幅が広い。山地にいるブチサンショウウオは背面が黒紫色で体側部の白斑が顕著なこと,尾の上下に黄条がないことで簡単に区別できる。 |
分布情報 | MAP |
分布(県外) | 近畿以西の本州,四国,九州。天草,五島列島,壱岐にもいる。日本固有種。 |
生活史・生態・生息地 | 主に丘陵地の森林で生活し,産卵期以外は水に入ることはない。堆積した石のすき間などに潜んでいることが多く,産卵期直前には水辺の石の下でよく見つかる。1~3月が産卵期で,山際の水田の溝や小さな水たまり,湿地に集まる。雌は産卵直前の状態で水に入り,水中の枯れ枝や石に排出孔を押し付けて卵嚢の端を付着させると,そこに雄が群がって一気に卵嚢は引き出され,受精が行われる。卵は径3mm程度,90~160個の卵を含むラセン状の1対の卵嚢として産み出される。幼生は首の左右に3対の外鰓をもち,孵化直後には口の両側,鰓の前方にバランサーと呼ばれる細長い突起が残っているが,これは止水に産卵するサンショウウオ類の特徴である。幼生は全長4,5cmにまで成長し,夏の初め頃変態して地上で生活する。 |
生息環境 |
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執筆者 | (倉本) |