ズグロカモメ
学名:Larus saundersi (Swinhoe, 1871)Myしおりとは、あとでもう一度閲覧したい種の解説ページを保存し、いつでも見直すことができる機能です。このボタンを押すことで本解説ページをMyしおりページにブックマークし、Myしおりページへ移動します。
生息状況・危機の状況・選定理由 | 泥質干潟と塩生湿地での生活に特殊化したカモメ類で,アジア極東部に分布域が限られる。世界の繁殖成鳥総数は約5000羽と推定される。最大の繁殖地である中国遼寧省双台子河河口では,1999年の繁殖期には,同地で繁殖する成鳥総数2323羽の85 (1981羽)が,堤防で閉め切られた内側の塩生湿地で繁殖していた。その場所はごく近い将来にエビ養殖場やパルプ原料用のヨシ生産場などになる予定であり,繁殖場所の喪失の危険にさらされている。越冬地の日本では,最大の渡来地であった諌早湾干潟は干拓工事によって消滅した。また福岡県内の干潟でも,埋立や環境悪化が懸念されている。このように,本種は世界的な規模で種の存続が非常に危ぶまれている。 |
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分類・形態 | 全長29~32cm。成鳥頭部は冬羽で白く夏羽で黒い。氏原ら(1992)参照。 |
分布情報 | MAP |
分布(県外) | 主に九州,四国,沖縄の干潟で1000~1500羽が越冬する(1993年度~1998年度WWF調査)。WWFとは、World Wide Fund for Nature(世界自然保護基金)の略。 |
分布(国内) | 中国の渤海,黄海沿岸および朝鮮半島西部沿岸で繁殖し,中国南部,台湾,朝鮮半島,日本,ベトナムの沿岸で越冬する。双台子河河口で標識された雛は,福岡,長崎,佐賀,熊本,大分,宮崎,愛媛,徳島,島根の各県および韓国忠清南道に渡来・越冬した。 |
生活史・生態・生息地 | 繁殖期は4月中旬~7月上旬で,泥質干潟に面した塩生植物群落が斑状に生えた場所に造巣し1巣3卵を産む。10月中旬~下旬には繁殖地から渡去する。日本の越冬地,例えば曽根干潟では,10月中旬に渡来が始まり,12月中旬から3月上旬まではほぼ安定した数を維持するが,その後渡去が始まり4月上旬までにはほとんどが飛び去る。日中の干潮時に,泥質干潟に急降下して,着地寸前にカニ・ゴカイなどを捕獲する。満潮時には水面上や砂州などで休息する。夜は海上でねぐらをとる。 |
生息環境 |
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執筆者 | (武石) |