ウメノキゴケ

名前 学名
 ウメノキゴケ(梅之木苔) Parmotrema tinctorum(Despr. ex Nyl.)Hale
 
分類
 地衣類・ウメノキゴケ科
 
生態
 比較的明るい場所の樹幹や枝、石垣などに普通に見られる地衣類。大形の葉状地衣で、地衣体はほぼ円形で直径20cmに達する大形の葉状地衣です。表面は乾いた状態では灰白色ですが、湿った状態では緑色が増します。中央部に細かい粒状の裂芽を密生することが特徴です。古くから日本画にも描かれ、私たちになじみのある地衣類です。
地衣類は菌類の仲間で、藻類と共生して地衣体という特別な構造を作っています。地衣体を構成する菌類は、藻類が作る光合成産物を栄養として利用するとともに、藻類を乾燥や紫外線から守っています。このため、地衣類は高山の岩場やコンクリート上など厳しい環境の中でも生きていくことができるのです。
 
その他
 ウメノキゴケに代表される着生地衣類は、着生蘚苔類(コケ植物)とともに大気環境指標として有用で、特に二酸化硫黄(亜硫酸ガス)に対する感受性が高いことが知られています。福岡県の都市域においても、大気環境の改善に伴い、1980年代には着生地衣・蘚苔植生の回復が見られたことが報告されています。
ウメノキゴケ
ソメイヨシノの樹幹に着生(太宰府市)