スミレ

名前 学名
 スミレ(菫) Viola mandshurica W.Becker
 
分類
 スミレ科
 
生態
 日当たりのよい草地、道端、河川敷などに普通に見られる多年草。葉は地際から放射状に出し、葉柄に長く広い翼があります。3~5月、長さ5~15cmの花柄の先に、直径2cm程度の濃紅紫色の美しい花を1個つけます。「すみれ色」と言えば、普通はこの濃い紫色を指します。果実は熟すと上向きになり、3裂して、長さ約1.5mmの種子を自動的に弾き飛ばします。スミレは花期でない季節にも果実をつけていることがあります。これは花を咲かせることなく、つぼみの状態で種子を形成する花(閉鎖花)が結実したもので、スミレの仲間に多く見られます。
 
その他
 スミレは種子を自動的に飛び散らすばかりではありません。スミレの仲間は、種子にエライオソームという白い付属体を持っています。エライオソームには、アリが好む脂肪酸が含まれているため、種子はアリによってさらに遠くに運ばれます。アリはエライオソームだけを食料にして、種子の本体は巣の周辺に捨てます。スミレはコンクリートの割れ目や石垣の隙間にもよく生育しています。これらの個体は、アリによって運ばれた種子が発芽・成長したものかもしれません。
道端のスミレ
道端に咲くスミレ(太宰府市)
保環研のスミレ
福岡県保健環境研究所のテラスに生えているスミレ(太宰府市)