ヒガンバナ

名前 学名
 ヒガンバナ(彼岸花) Lycoris radiata (L'Hér.) Herb.
 
分類
 ヒガンバナ科
 
生態
 田の畔や堤防などに群生する多年草。秋の彼岸の頃に花を咲かせるのでこの名があり、曼殊沙華(まんじゅしゃげ)とも呼ばれます。葉は晩秋に出現し、翌年春に枯れます。葉が出る前の9月頃に花茎を伸ばし、その先端に5~7個の花をつけます。花弁(花被)は鮮紅色、6枚で細長く縮れ、雄しべ6本、雌しべ1本で、長く飛び出ています。種子をつけることはなく、地下にあるラッキョウ形の球根(鱗茎)により繁殖します。中国には種子をつけるヒガンバナがあることから、古い時代に日本に持ち込まれた植物(史前帰化植物)と考えられています。
 
その他
 地下の球根は、リコニンなどの有毒なアルカロイドを含みます。しかし、有毒ながらも古くは救荒植物として利用されてきました。たたき潰して水にさらすことによって、有毒成分を洗い流し、取り出したデンプンを食用にしてきたのです。さらすという技術は、ヒマラヤ山脈中腹からヒガンバナの自生地である中国南部を通って日本の西南部に至る照葉樹林文化に特有なものといわれています。今も田んぼの畦道に見られるのは、救荒食として利用できるよう、古くから人の手により植え継がれてきた名残りとも考えられます。
ヒガンバナの花
田の畔に咲いている花(大野城市)
ヒガンバナの葉
冬を越した葉(太宰府市)