自然観察で注意すること

 自然観察は、四季の移ろいを感じたり、生きものの面白さを発見したり、山野草を味わったり、飼育して観察したり、など様々な楽しみ方があります。しかし、怪我をしてしまったり、周囲の人に迷惑をかけてしまったり、生きものに悪影響を与えてしまうことなどは避けたいものです。

 以下では、自然観察における主な注意事項を紹介しますので、自然観察の最低限のルールとして心にとめて観察等を行うようにしましょう。

安全に自然観察を行うための服装・持ち物

服装

  • 夏でも長袖、長ズボンが基本。黒っぽい服は避ける。(森林や草むらに入らない場合は、熱中症対策を優先して半袖も可)
  • 帽子
  • スニーカーや登山靴、長靴など、足をしっかり覆う履物
  • 軍手
  • 雨合羽(山は天候が変わりやすいため常備した方が良い。防寒にもなる)

持ち物

  • 飲み物(夏は多めに!経口補水液も有効)
  • 凍らせた水
    (夏にあると便利。熱中症対策やケガの時の水洗いや冷却にも使える)
  • 応急処置の道具(絆創膏、消毒薬、ガーゼ、包帯など)

自然観察を行う上での安全管理

危険な場所

危険な場所にはなるべく近づかない!以下の場所は特に危険です。

  • 水流が速い、水深が深い、護岸の傾斜が急な水辺
  • 崖や、足元が不安定な岩やガレ場が多い場所
  • 足元が見えない草むら

危険な気象条件

以下の気象条件での観察は危険を伴います。特に警報が出ている場合は観察を延期しましょう。

  • 強い雨風 … 雨が降ると様々な危険が増大します。
  • … 遠くから聞こえただけでも、すぐに避難をする。
  • 猛暑 … 高温だけでなく多湿にも注意。こまめな水分補給と休憩をとる。

危険な生きもの

  • 毒ヘビ(マムシ・ヤマカガシ)
    … 足元が見えない草むらにはなるべく入らない。
  • スズメバチ・アシナガバチ
    … 黒っぽい服は避ける。巣を見つけても近寄らない。ハチを見つけたときは、騒がずゆっくり後退してその場を離れる。秋は特に気性が荒い。
  • マダニ類
    … ダニ媒介性のウイルスを保有している場合がある。特にシカやイノシシが多い場所に多く生息している。長袖、長ズボンを着用し、袖は靴下や軍手の中に入れると侵入されにくい。観察が終わったら服や靴などに付着していないか確認しましょう。
  • ウルシの仲間
    … 触れるだけで多くの人がかぶれ、ひどいかゆみが生じる。
  • 有毒植物・キノコ
    … 名前が確実にわかり無毒とわかるもの以外は口に入れない。

土地所有者や周囲の人に配慮しましょう

  • 私有地や柵で囲われた場所、田畑などは地域の方が管理している場所です。無断で侵入しないようにしましょう。
  • 通行の邪魔になる場所に駐車しないようにしましょう。
  • 公園や河川敷、道路などの公共の場所であっても、樹木の伐採やトラップ等の設置、土地改変などを行う場合は、必ずその土地を管理する自治体に許可を取りましょう。
  • 周辺を利用する人やほかの観察者などに迷惑がかからないよう、気を付けましょう。
  • ゴミは必ず持ち帰りましょう。

自然観察による生態系への影響を軽減させましょう

希少種

 希少種の捕獲、採集はしないようにしましょう。希少種の範囲としては、国・県・市町村のレッドデータブック掲載種が一つの目安です。なお、種の保存法及び県条例に指定されている種は捕獲や販売が法律で規制されています(県内の動植物について知りたい>希少種を参照)。

外来種

 外来種のうち、侵略的外来種については人が意図的・非意図的にほかの地域に持ち込んでしまうことが分布拡大の大きな要因になっています。外来種を捕獲・採集した場合は、絶対に他の地域に広げないようにしましょう。また、特定外来生物については生きたままの運搬等が法律で規制されています。特に注意が必要です。

野鳥の観察

 近くで見たいからといって、鳥たちの快適な生活を脅かしてはいけません。どのくらい近づいたら逃げてしまうのか、その距離感は種によって大きく異なるため、一言で何m以上離れて、ということは言えません。日ごろの観察でこのことを常に心掛け、適切な距離を保つようにしましょう。特に、繁殖期の鳥はとても繊細です。過剰な観察が営巣放棄につながらないよう、気を付けましょう。

関連法令の遵守

 国定公園および県立自然公園などの自然公園においては、指定植物等の採集が禁止されているほか、特別地域ではすべての生物の現状変更が禁止されています。そのほか、哺乳類・鳥類は鳥獣保護管理法により、捕獲が禁止されています。