沖ノ島の自然林
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群落の特徴 | タブノキ群落は,絶壁状の急斜面を除く,標高70 以上のほぼ全域に認められるが,群落構成は立地により異なる。黄金谷付近など急斜面ではタブノキ,シマモクセイ,バリバリノキなど,土壌が発達する平坦面ではこれにホルトノキ,ヤブニッケイ,カクレミノが加わる。その他,ノシラン,ムサシアブミ,イシカグマ,ヒゼンマユミ,オオムラサキシキブ,クワノハエノキ,オオタニワタリなどの暖地海岸性植物や亜熱帯性植物が出現する。ハマビワ群落は標高70 以下のほぼ全域に見られ,海岸風衝低木林を形成している。南西側の標高40 以下の緩斜面には海岸風衝草原,岩角地や崖地の岩隙,岩棚には海岸岩角地群落が見られる。オオタニワタリ個体群は黄金谷の巨岩上やその周辺,樹枝上に数十株が自生する。県内唯一の自生個体群である。ビロウ個体群は,島北端の割鼻上部標高70 の台地上に生育する。1972年の調査では,低木林中に成樹3株のほか,3株の幼樹が確認されている。今後注意深く見守る必要がある。 |
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構成群落 | ☆タブノキ群落(A・H),☆ハマビワ群落(D・H),☆オオタニワタリ個体群(B・C・H),☆ビロウ個体群(C) |
群落立地 | 沖ノ島は玄界灘の中央に位置する孤島である。島は北東~南西方向に1.5km,最大幅900 ,周囲4kmで紡錘形をしている。最高点は一ノ岳(標高244 )で,長軸方向に二ノ岳,三ノ岳,白岳と稜線が走る。遠望すると烏帽子型に見える。島は中生代の粘板岩が基盤で上部に石英ひん岩が乗る。南東側は急傾斜で,一ノ岳直下では標高150 以上,北部では海面下から絶壁となる。南側下部は海岸線まで緩傾斜である。北西側は稜線から標高50 まで緩傾斜で下り,ここから海岸まで絶壁である。緩斜面では土壌が比較的深く森林が発達する。絶壁にはほとんど植生はなく,海崖上部斜面で低木林が発達する。島の周辺海域は対馬暖流が流れ温暖な気候を作っている。冬季の積雪や降霜はほとんど見られない。 |
群落評価 | A(福岡県) |