シオジ群落
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群落の特徴 | 英彦山は標高約1000 までは凝灰角礫岩で,その上部に安山岩質熔岩が重なっている。谷間をはじめ山麓部には上部から崩落した安山岩が積み重なった状態になっており,そこに原生状態のシオジ林がある。林内は湿潤で,岩石にはコケ類が厚く生育している。英彦山には2カ所面積の広いシオジ林がある。一つは北岳から中岳にかけての北側斜面の標高850 から1000 にかけての範囲で,その間には4筋の大きな谷がある。もう一つの林は岳滅鬼山の北側斜面にある。 |
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群落構成 | シオジの高木は樹高約30 ,胸高直径90cmにも達する。シオジに非常によく似たサワグルミのほか,イトマキイタヤ,コハウチワカエデ,ミズメなどを混じえる。亜高木層や低木層にはヒナウチワカエデ,チドリノキ,ツリバナ,ヒコサンヒメシャラ,ウスゲクロモジ,ハナイカダなど,草本層にはミヤマクマワラビなどが生育し,シオジ-ミヤマクマワラビ群集に同定される。岳滅鬼山は英彦山と同様にシオジの大木が茂っているが,ここには岩石の堆積はなく,またミヤマクマワラビも生育していない。県内他所には優れたシオジ林は存在しない。犬ヶ岳山系では,笈吊岩から犬ヶ岳にかけての稜線下にシオジが散在しているが,シオジ林というほどのものではない。福智山の北西斜面にも小さなシオジ群落があるがまだ木が若い。脊振山にも小群落がある。 |
保存状況 | 英彦山の2カ所のシオジ林はいずれも原生的な林で範囲も広い。樹下にはワチガイソウ,ヤマシャクヤク,コミヤマカタバミ,ヤマウツボ,タマガワホトトギスなど数多くの希少植物が生育している。学術的にも価値の高い群落であり,現状のまま保存されることが望まれる。 |
群落評価 | A(福岡県) |