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種の解説

山地岩角地植物群落

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RDB2001概説

分類群 植物群落
RDB2001カテゴリー カテゴリーⅡ
群落の特徴

矢部村の岩角地は,日向神,八知山で代表される。日向神は安山岩性の岩峰群で,植物はあまり密生せず,岩体の節理崩壊部分を中心に小群落が形成されている。南向きの天戸岩,正面岩と比べ,北向きの蹴洞岩は湿潤で岩表がコケ類に覆われる部分も多くトダシバ,ヒトツバ,イワヒバ,カタヒバなどの群落も大きい。通称小日向神と呼ばれる八知山は,種類は少ないが岩壁の広い範囲にわたって生育するイワヒバ大群落は絶景である。

添田町英彦山は玉屋神社付近の岩壁で代表される。大規模な岩場は古くから修験者の行場となった場所で,人為的影響も少なく種数も多い。しかし,かつて多数見られたウチョウランは絶滅した。

群落構成

日向神は,土壌化の進んだ崩壊部分はアカマツ,アラカシなどの亜高木が斑状や帯状に分布し,その他の岩壁部分の緩斜面および節理の湿潤部分にアカマツ,マルバアオダモ,トダシバ,イワヒバ,カタヒバ,セッコク,オオアブラススキ,タカネマンネングサ,チャボツメレンゲなどが生育している。セッコクはトダシバ,イワヒバと混生することが多い。小日向神は種類が少なく,低木のアラカシ,ネムノキ,コナラ,草本のトダシバなどがわずかに生育し,岩壁の3分の1はイワヒバ大群落で占められる。英彦山は亜高木のアカマツ以外は低木以下で構成される。常在度の高い植物はゲンカイツツジ,キハギ,マルバアオダモ,ネジキ,ヤマツツジなどで種数は多い。草本にイワギボウシ,イワヒバ,シノブ,コオニユリ,セッコクなどが見られマメヅタラン,ツメレンゲなど希少植物も生育している。

保存状況

日向神は1985年の岩体の滑落以来,ネット設置など修復工事が継続され,天戸岩,正面岩,蹴洞岩などを残し多くの植物が減少している。小日向神はキャンプ客による盗堀などの影響が懸念される。英彦山は1991年の台風19号による表土の滑落によって,多くの貴重な植物が失われた。今後,観光開発などによって植生が消滅する可能性がある。

群落評価 B(福岡県)
補足情報

2011版データを見る

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